AGAメソセラピーは有効成分を含む薬液を使用して、頭皮に直接アプローチする治療法です。
投薬治療との併用でより高い効果が期待でき、発毛までの期間を短縮できるメリットがあります。一方、使用する薬液の製剤にコストがかかることや、医師による施術が必要になるため、治療費が高額になるデメリットもあります。
当記事では、AGAメソセラピーの治療法や効果、治療に必要な施術回数や期間について詳しく解説します。持病や体質によって投薬治療を受けられなかった人も、AGA治療を始めるチャンスです。
AGAメソセラピーとは
AGAメソセラピーとは抜け毛や薄毛治療に効果のある成分を頭皮に直接注入することで発毛を促す治療法です。
一般的にAGA治療は内服薬や外用薬による投薬治療から始めます。AGAメソセラピーと投薬治療を併用すると、発毛を実感できるまでの期間が短くなるメリットがあります。
また、使用する有効成分は人体に害がなく、内服薬に比べて副作用のリスクが少ないのも特徴のひとつ。持病や体質の関係で投薬治療を受けられない人にも適しています。
AGAメソセラピーに使用される成分
AGAメソセラピーでは、育毛や発毛に有効な成分が含まれた薬液を使用します。
主に含まれている成分は以下のとおりです。
- ミノキシジル
- フィナステリド
- ケラチン細胞増殖因子(KGF)
- インスリン様成長因子(IGF-1)
- 血管内皮細胞成長因子(VEGF)
- 繊維芽細胞成長因子(bFGF)
- 銅ペプチド
- コエンザイムQ10.
- ヒアルロン酸
- タンパク質
- ビタミン類
これらの有効成分を配合した薬液を頭皮に直接注入することでヘアサイクルを正常に戻し、育毛や発毛を促します。
AGAメソセラピーで使用する薬液のブレンドはクリニックによって異なるため、治療前に配合されている成分について確認しましょう。
AGAメソセラピーの治療方法
AGAメソセラピーの注入方法には、注射器や針付きローラー、炭酸ガス、レーザー照射など、さまざまな治療法があります。注射が苦手な人や痛みに敏感な人には、炭酸ガスやレーザー照射がおすすめです。
ここからは育毛メソセラピーの5つの治療方法について紹介します。
治療法 | 使用する器具 | 特徴 | 痛み |
---|---|---|---|
パピュール法 | 注射器 | 注射針を用いて薬液を頭皮に注入する治療法です。強い痛みを伴いますが、有効成分の浸透率が高いのが特徴です。 | 痛みが強い |
ナパージュ法 | 注射器 | パピュール法に比べて細かく注射して頭皮に薬液を浸透させます。痛みを伴いますが有効成分の浸透率が高いのが特徴です。 | 痛みを伴う |
ダーマローラー法 | 針付きのローラー | 針付きのローラーを頭皮の上で転がすことで微細な穴を開け薬液を浸させる治療法です。
注射器による施術より痛みや出血が少ないのが特徴です。 |
やや痛みがある |
フラクショナルレーザー法 | レーザー照射 | 針を使わず特殊なレーザーを照射して頭皮に小さな穴を開け、薬液を浸透させる治療法です。痛みはほとんどありませんが他の施術に比べて治療費が高くなります。 | ほぼなし |
エレクトロポーション法 | 電気穿孔 | 電気パルスによって頭皮の隙間に穴を開けて薬液を注入する治療法です。針を使わないため痛みはほぼありませんが、他の施術に比べて成分が浸透しにくいデメリットがあります。 | ほぼなし |
以前までは注射器を用いた施術が一般的でしたが、医師の高い技術力が必要で痛みを伴うことから、近年では注射器を使用しない治療法が広まっています。
AGAメソセラピーで使用する薬液に含まれる成分はクリニックごとに異なります。一般的には、ミノキシジルやフィナステリドなどの医薬品成分や成長因子、育毛に必要な栄養素を独自にブレンドしています。
AGAメソセラピーの推奨度
AGA治療の中でもっとも主流なのは内服薬による治療です。厚生労働省から認可された薬剤を用いた内服薬による治療は、有効性や安全性が保証されています。日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨度Aの「行うよう強く勧める」治療法として高く評価されています。
一方、育毛メソセラピーは投薬治療に比べて歴史が浅く、国内で臨床試験の数も少なく、先進医療の位置付けとなり、有効性や安全性が十分に検証されていません。そのため推奨度はC2の「行わないほうがよい」治療法に分類されます。
ただし投薬治療に比べて副作用が少なく、治療の選択肢が少ない女性の薄毛治療にも使えることから、注目されている治療法でもあります。今後、十分な臨床が行われることで、AGAメソセラピーによる治療もメジャーになるかもしれません。
AGAメソセラピーとHARG療法の違い
AGAメソセラピーと同じく、頭皮に有効成分を浸透させることで発毛を促す治療法にHARG療法があります。HARG療法は日本医療毛髪再生研究会から認定を受けた医療機関でのみ施術が可能で、使用する薬剤も定められています。
AGAメソセラピーに比べて治療費は高くなりますが、副作用やアレルギーが起こりにくく安全な治療法として注目されています。
AGAメソセラピーとHARG療法には以下のような違いがあります。
使用する薬液 | 注入方法 | |
---|---|---|
AGAメソセラピー | ミノキシジル・成長因子・発毛因子の成分をブレンドしたもの | ・注射器 ・針付きのローラー ・電気パルス ・炭酸ガス ・レーザーなど |
HARG療法 | HARGカクテル | 注射器 |
AGAメソセラピーとHARG療法の大きな違いは使用する薬液に含まれる成分です。
AGAメソセラピーでは、クリニックで独自にブレンドした成分を使用します。一方、HARG療法では、成人の脂肪幹細胞から抽出したタンパク質を冷凍して乾燥させた「AAPEパウダー」を使用します。AAPEパウダーはHARGカクテルとも呼ばれ、150種類以上の成長因子が含まれています。
HARGカクテルに含まれる成分は、日本医療毛髪再生研究会によって定められているため、クリニックごとの違いはありません。
HARGカクテルを製剤するにはコストがかかるため、AGAメソセラピーに比べて治療費が高くなります。その点、AGAメソセラピーは治療費が安いうえに、痛みが少ない治療法を選べるメリットがあります。
AGAメソセラピーの効果
AGAメソセラピーには薄毛の進行を抑制し、発毛を促進する効果が期待できます。投薬治療でも同様の効果が期待できますが、頭皮に直接薬液を注入する異なるアプローチ法となります。
投薬治療では期待する効果が出なかった場合でも、AGAメソセラピーなら効果を実感できたという報告も多く挙げられています。また、投薬治療との併用で発毛までの時間を短縮できるメリットもあります。
抜け毛を予防し薄毛の進行を抑制する
抜け毛予防の投薬治療にも使われる成分、フィナステリドやデュタステリドが含まれた薬液を用いた治療で、抜け毛を予防し薄毛の進行を抑制する効果が期待できます。
フィナステリドやデュタステリドはAGAの原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制し、ヘアサイクルを正常に戻すことで抜け毛や薄毛の進行を防ぎます。
発毛を促進する
ミノキシジルや成長因子が含まれる薬液を用いた治療で、発毛促進の効果が期待できます。
その他に、育毛や発毛に欠かせない亜鉛やタンパク質といった栄養素を配合することによって、新たな髪の成長をサポートします。更に、ビタミンやミネラルの力で頭皮環境が改善され、抜け毛予防にもつながります。
AGAメソセラピーはAGA治療薬との併用がおすすめ
AGAは内服薬や外用薬による投薬治療が主流で、AGAメソセラピーは投薬治療との併用が一般的です。投薬治療とAGAメソセラピーを併用することで、発毛を実感できるまでの期間を短縮できます。
ただし、希望したからといって全ての治療を受けられるわけではありません。持病の関係で投薬治療を受けられないことも。AGA治療は症状や体質に合わせて、適切な治療を行うことが大切です。
治療回数の目安
AGAメソセラピーは1クール6~16回が治療回数の目安となります。施術の頻度は2~4週間に1回で、1クールにかかる期間は約半年から1年です。
AGAメソセラピーは治療開始から3ヶ月ほどで効果を実感できることがほとんどです。定期的に診察を受け、追加治療が必要かどうか医師に相談しましょう。
AGAメソセラピーのメリット・デメリット
AGAメソセラピーは投薬治療に比べて高い発毛効果が期待できます。また、副作用のリスクが少ないメリットがあります。一方、費用が高額になりがちで、通院の手間がかかるデメリットも。
ここからはAGAメソセラピーのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
メリット
・発毛効果が高い
AGAメソセラピーは育毛や発毛に効果のある成分を頭皮に直接注入するため、投薬治療に比べて高い効果を得ることができます。
費用はかかりますが、できるだけ早く薄毛の悩みを解消したい人におすすめ。投薬治療と併用することで、発毛を実感するまでの期間を短縮できるメリットもあります。
・副作用のリスクが少ない
AGAメソセラピーは投薬治療に比べて副作用のリスクが少ないメリットがあります。
注入する薬液に含まれる成分には害がなく、持病や体質の影響で投薬治療を受けられなかった人にもおすすめです。
・女性でも治療できる
AGAメソセラピーは女性でも施術を受けられます。
女性はフィナステリドやデュタステリドを服用できません。その点、AGAメソセラピーなら体質や症状に合わせて有効成分をブレンドできるため、女性でも無理なく薄毛治療できるメリットがあります。
・投薬治療ができない人でも治療できる
AGA治療で使われる内服薬は、成分が分解される際に肝臓に負担がかかるため、肝臓に疾患のある人は服用できません。
一方、AGAメソセラピーなら薬液を頭皮に注入するため、肝臓に負担がかかる心配がなく、疾患のある人でも治療を受けられるメリットがあります。
・薬を飲み忘れる心配がない
AGAの内服薬は自身で薬を管理する必要があります。飲み忘れることがあれば、十分な効果を得ることができません。
その点、AGAメソセラピーなら通院して医師の施術を受けることになるため、予約を忘れない限り、コンスタントな治療で効果を実感できるでしょう。
デメリット
・治療費が高い
AGAメソセラピーは投薬治療に比べて治療費が高額になります。
薄毛予防や発毛に有効な成分をブレンドし、医師が注入する施術となるため、費用が高くなりがちです。
・定期的に通院する必要がある
投薬治療ならオンライン診療で手軽に薬を処方してもらえますが、AGAメソセラピーは通院する必要があります。
1回だけではなく定期的に施術を受けることになるため、通院の手間がかかるデメリットがあります。
・副作用が起こることがある
AGAメソセラピーは投薬治療に比べて副作用が起こるリスクが少ないものの、可能性はゼロではありません。
ごく稀に頭皮の腫れや痛み、出血などの副作用が起こることも。副作用の症状は時間の経過とともに治まることがほとんどですが、気になる場合は医師の診察を受けましょう。
AGAメソセラピーの副作用
AGAメソセラピーは副作用が起こるリスクが少ない施術です。ただし、副作用が生じる可能性はゼロではありません。
針を用いた施術では痛みや出血を伴うこともありますが、麻酔や冷却で症状を軽減できます。また、施術直後は取費の腫れやかゆみ、赤みが生じることもありますが、数日以内に治まることがほとんどです。
ごく稀なケースですが、施術後にアナフィラキシーショックや感染症を引き起こすことがあります。気になる症状があれば、速やかに医師の診察を受けてください。
AGAメソセラピーの注意点
AGAメソセラピーは、さまざまな有効成分を注入することで、直接頭皮にアプローチできます。
また、投薬治療に比べて効果が出るまでの期間が短いメリットもありますが、以下のような注意点もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
施術後は入浴やサウナを控える
AGAメソセラピーの施術を受けた当日は、入浴やサウナを控えてください。基本的には普段どおり生活できますが、入浴やサウナで血流がよくなると、施術箇所が赤くなったり腫れる可能性があります。
また、細菌が侵入して炎症を起こすリスクもあります。トラブルを避けるためにも、術後は医師の指示に従って過ごすようにしてください。
毛包がない場合は治療の効果を得られない
AGAメソセラピーは、有効成分を含む薬液を頭皮に注入することで発毛を高める治療法です。
有効成分がアプローチできるのは、髪の毛のもとになる毛母細胞が集まった毛包です。そのため、毛包がなくなっている場合は治療効果を得ることができません。
AGAメソセラピーを受けられる頭皮状態かどうか、クリニックを受診して確認しましょう。
稀に副作用が起こることがある
AGAメソセラピーは副作用の少ない施術ではありますが、ごく稀に副作用が起こることがあります。
薬液に含まれる有効成分の中にフィナステリドやミノキシジルなど、投薬治療で使われる成分が含まれていることがあります。その場合は、それぞれの治療薬の副作用が生じる可能性があります。
AGAメソセラピーの施術を受けられない人もいる
AGAメソセラピーはガンを患っている人へ施術できません。薬液に含まれる成長因子には、ガン細胞の成長を促す可能性があるためです。
頭皮や毛根、毛髪の状態だけではなく、健康状態も含めてAGAメソセラピーを受けられるかどうか、医師に相談しましょう。
AGAメソセラピーの費用の相場
AGAメソセラピーは保険適用外の自由診療となるため、クリニックによって費用が異なります。また、使用する薬液や治療法によっても料金は変わってきます。
・AGAメソセラピーは複数回の施術が必要
AGAメソセラピーの治療は、1回の施術だけでは十分な効果を得ることができません。施術の回数を重ねることで十分な効果を感じられます。
クリニックでは複数回の施術をセットにした1クールで価格設定されていることがほとんどです。1クールの回数もクリニックごとに異なりますが、6~16回が一般的です。
1クールの回数にも幅があるため、相場もクリニックによって大きく変わりますが、通常20~80万円となります。1回あたり2万円程度が治療費の相場といえるでしょう。
AGAメソセラピーに関するよくある質問
【AGAメソセラピーの治療に痛みはある?】
AGAメソセラピーは治療法によって痛みが異なります。
注射器を用いた施術は強い痛みを伴うことがあります。一方、電気パルスや炭酸ガス、レーザーを用いた施術では、ほとんど痛みを感じることはありません。
痛みに敏感な人はフラクショナルレーザー法やエレクトロポーション法、ノーニードル法を導入しているクリニックを選ぶとよいでしょう。
【AGAメソセラピーは自分でもできる?】
AGAメソセラピーのセルフケア商品が販売されており、自分でも施術できます。ただし、以下のような理由からおすすめできません。
- 市販の薬剤で効果が出るかわからない
- ダーマローラーの針が頭皮を傷つける可能性がある
セルフケア商品を使用したAGAメソセラピーは安全性や有効性が確認されていません。頭皮環境が悪化し、薄毛を進行させるリスクもあるため避けるべきです。
【AGAメソセラピーの施術にかかる時間はどれくらい?】
AGAメソセラピーの施術にかかる時間は40分程度です。
半年から1年程度かけて1クール6~16回の施術を受けます。
【グロスファクターとは何?】
グロスファクターとは成長因子のことで、体内の細胞の増殖を促す作用のあるタンパク質の一種です。
薄毛が進行している箇所にグロスファクターを注入することで、弱った毛根の細胞を活性化させ、髪の成長や発毛促進の効果が期待できます。
【パーマやカラーリングはいつからできる?】
AGAメソセラピーの直後は、パーマやカラーリングの薬剤が頭皮に刺激を与え、炎症を引き起こすリスクがあります。そのため治療から1週間は控えてください。
【AGAメソセラピーの治療は保険適用される?】
AGAメソセラピーには保険が適用されず、医療費控除の対象にもなりません。
メソセラピーを含めたAGA治療は、見た目を変えるための治療に分類されます。美容整形と同じく命に影響する病気の治療ではないため、保険適用外の自由診療となります。